私たち夫婦には、ずっと以前から親しくしている老姉妹がいる。ご近所に住んで40年以上にもなる人です。
姉が88歳、妹が81歳です。姉の方は数年前の交通事故の後遺症があり、体の痛みも完全には取れないままで、妹の方は糖尿病やその他の老人性の病も抱えている。
老姉妹の日課はほとんど毎日、どこかの病院へ通院することである。体がゆうことを利かないから、行きたい所に自由に出かけられない。
私が退職したこともあり、思い切って前橋にあるお姉さんのご主人だった人の墓参りに誘ってみた。遠出は疲れるだろうと、近くの温泉に1泊することにした。
連休を避け12日13日と行くことにし宿を取っておいた。当日は10時に車で迎に行く約束をした。夫は足が痛いというので私が運転した。
関越道を走るのは久しぶりであった。途中高坂でトイレタイムにし一路駒形インターまで向かうことにした。駒形で高速を下り、ナビの示すとおりに行く。
もう直ぐお墓に着く近くに、讃岐うどんの店があり、丁度お昼なのでうどんを食べた。本場讃岐で修行をしてきたそうで、実に美味しかった。
4人で食べて1550円とても安い。老姉妹も喜んで食べた。自分で天ぷら等を取り食べるのは初めてだという。へ~いろんな店があるんだねと言う。
最近讃岐うどんの店は、皆こんな店が多いですよ、と言うと知らなかったとお驚いた様子だった。これから行きたい所にはどんどん連れて行きますから。

お墓は大きく立派であった。なぜ私たちまでお墓参りしたか、それはこの老姉妹に死後のことを委ねられているからだ。
骨にして埋葬して欲しいと言うのが彼女らのたっての願いで、それは4~5年前から頼まれていたものだった。
この老姉妹は近所と言うだけで、私たち夫婦を頼ってきたのだった。昨今孤独死なるものが多く、それだけは避けたいと言う。
いいですよ、良かったら家のお墓に入ってください、そう言ってからは、彼女らは何かといろいろ相談にやってくるようになった。
公立の住宅の応募は7年ぐらい提出してあげていた。2年前やっと当選し、今は区立の住宅に住んでいる。古い木造の家は怖がっていたから、本当に良かった。

墓参りを済ませ伊香保温泉に向かった。山を登っていくほどに新緑が美しく、老姉妹は旅行は4年ぶりだと喜んだ。
ホテルには早く着いたが部屋に通してくれた。お茶を頂き二人を温泉に連れて行った。小さい背中を流すと母を思った。母には何も親孝行してやれなかった。
二人の背中を流しながら、これからはこの老姉妹にお母さんになっていただこう。孝行は何も実の親でなくたっていい。二人には子供はいないのだから...
翌日は母の日だった。ささやかなプレゼントを用意してきた。夏物のスカーフ、宇野千代デザインの桜の花の模様で、一人は薄い紫、一人は薄黄肌色。
母の日のプレゼントは、生まれて始めてもらったと喜んだ。そうだろう、二人には子供がいなかったのだから。

いろんな病も抱えているが、これからは心安らかに暮らして欲しいと願っている。緑の山々が幸せになれるよと姉妹に語りかけていた。
縁あって親子のようにお付き合いさせてもらっている。安らかな老後を送れるようできる限りのことをさせてもらおうと思っている。