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入院生活4

 私の自主トレは退院を1週間後に控えた頃から、益々熱心になっていった。病棟の回廊を一歩一歩歩く姿を、夜勤の看護師さんやヘルパーさんが見ていた。「今日は何周?」優しい笑顔で話しかけてくる看護師さんに、思わず「20週」と答えてしまった。

 言っちゃったからやらなければ、理学療法士からは、歩くのは大股でユックリとアドバイスされている。しかし20週は2Kにもなる。とてもユックリ歩いていたのでは時間がかかりすぎる。

 ままよ、普通に歩こう。自分の部屋から回廊を1廻りすると1と覚える。2回、3回、4回、だんだん疲れてくる。相変わらず左の足は重いし、ちょっとしびれたように感じる。7回、8回、ダメだ。10回で止めよう。

 看護師さんに20回と言ってしまった。どうしよう止めるか続けるか、そんなことを考えていると、ふと足が軽くなっていることに気付いた。アレ変だな、どうしたんだろう。これなら20回はいけるんじゃないか。

 汗をかきながら、起きだしてきた他の部屋の人たちに「おはよう」の挨拶をしながら、15回、20回。とうとう20周を達成した。部屋に戻り携帯についている歩数計を見ると、4000歩近い数字になっていた。

 退院の日までに5000歩、歩けるようにしようと思っていたから、もう少しだ、あと1000歩と思った。次の日も、次の日も、20周を目標に歩いた。そして気付いたことは、いつも6~7周すると体がきついと感じることだった。

 そこで止めたらそれで終わり、いつまで経っても1Kも歩けない。普通の生活に戻るには5000歩歩かなければと思いながら、20周を目指し歩き出す。するといつの間にか体は軽くなり、足もそう辛くはない。

 そのことを理学療法士のSさんに言うと、身体が温まり血行がよくなっているのかも知れないと言われた。そうかもしれない、きつい坂を上りきれば、あとは楽な下りになる。 退院の日まで頑張ろうと思った。

 回廊を20周すれば4000歩、その他にもリハビリに行ったり、病院の外に併設されているコンビニに、新聞を買いに行ったりすれば5000歩は上回る。大丈夫だ、退院しても歩くのには不自由しないだろう、その時は安易に考えていた。

by inakagurashi2003 | 2014-06-11 11:02 | 雑談

初孫誕生で喜びのオーマ(ドイツ語でおばあちゃん)です。


by inakagurashi2003